2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

6時半を過ぎた頃。 東の空では透き通るような桃色の光が、 綿菓子のように散らばった雲の間を躍る様に染め、所々に紅の火を散らしていた。 月は西の空に見当たらず、藍色の夜が楚々として残っていた。 明るくなってきた空とまだ暗い空の境目にポツンと星が…

北斎展へ行きますか?

守衛さんの脇を通ると、ザザッと風が吹いて落ち葉を撒き散らした。 東京国立博物館のユリノキは今、華やかに黄葉している。 広場の真ん中に一本と言うのは淋しげに思えることもあるけれど、 このユリノキは博物館前の広場にのびのびと聳え立っている。 博物…

ホットミルクの時間

窓の側に寄ると、体の窓に面した部分がぞくりと震えた。 外気をさえぎる硝子は1cm近くもあるのに。 その分厚い硝子の向こうから そろり そろり と 気づかないうち寒気が滲みてきている。 大慌てでカーテンを閉めた。 暖房効率を上げれば、早く暖かくなる…

誕生日の野望

今日・・・ううんもう昨日。 0時の瞬間、3通のメールと1件の電話をもらった。 6時半、7時、8時、8時半・・・ 本日0時ぎりぎりまで何本のメールと電話をもらったんだろう^^ きっと明日も慌てて掛けてくれる人がいるに違いない。 なんだか顔が笑ってしまう…

選択肢を作る人たち

坂の上から見上げると ふっくらとした月が見えた。 地上は寒いのに、今日の月は暖かそうなオレンジ色。 やわやわとした煙のような雲の合間から丸い姿が覗いている。 あんまり穏やかな色をしているから、 立ち止まって雲の掛からない姿が見たいと思う。 少し…

モチーフの違い

今日になってまたぐんと冷え込んだから、 目に入る山茶花の花を掴んだら 薄い硝子の様な音を立てて壊れてしまうような気がする。 耳の奥がキンと痛んだ。 ちょっと影に入るとそれだけで気温の変化を感じてしまうから できるだけ日向の中を選んで歩く。 木枯…

Nipponてどんな国?

歩きながら 「昨日よりマシ、昨日より暖かい」と、自己暗示を掛ける。 一生懸命自分に言い聞かせているのに 欅の葉っぱがカサカサと音を立てて落ち葉溜まりを作っていく。 気がつくと いつの間にか肩が強張って持ち上がっている。 体が一生懸命寒さを我慢し…

効果の高い「うがい」の仕方

ピリピリと皮膚を刺すような寒さの中、 薄紅色の山茶花の花が咲いている。 少し透明感のある花弁は、 手入れされた女性の薄桃色の爪のよう。 ふっくらと膨らんだ金のおしべの周りに 紅水晶のような滑らかな花びらが広がる。 優しげなのに、ガラス細工のよう…

フランスで、もう11日が過ぎている

昨日、友人と1年近くぶりに電話した。 メールや手紙はしていたけれど なかなか電話は出来てなかった。 電話の向こうから、懐かしい声が聞こえた瞬間 なんだか妙に泣きたくなった。 「わかる?」と聞いただけなのに、 初めて電話を掛けたのに、 「もしかして…

みんな祝われる人

「おめでと〜!」 「おめでと〜!」と叫ぶたび、 落ち葉がハラハラと頭上を舞った。 最初は銀杏の葉っぱを花束のようにして 渡しあっていただけだったのに、 段々エスカレートして落ち葉の掛け合いになった。 両腕を一杯に広げて落ち葉を抱えると、 精一杯の…

花水木とブランコ

花水木の 赤錆を混ぜたようにくすんできた葉の間から 赤い実がちょこりと覗く。 そのちょっと見える赤が不思議に鮮やかで、 薄暗い曇天の中、妙に目が行く。 道に一枝落ちていたので 持って帰ろうと思ったのけれど 手に取ったらポロリと実が落ちてしまった。…

ココアの夜に

朝が来て、夜が来る。 それが繰り返されるたび、 寒さが存在感を増してきて 毎日脱皮をしているような気がする。 見えない薄皮がするすると剥がれるから、服の厚みが増していく。 この頃、 庭から聞こえる虫の声が段々少なくなってきた。 ついこの間まで、7…

ここに生まれてみたかった!

とんがり帽子に、カボチャのジャック。 姫様、妖精、チャイナドールに、ゴジラの着ぐるみ、ドナルドダックにピカチュウに・・・ 日曜日、横浜へ行った。 元町の改札を過ぎると、そこはもう童話の国だった。 元町の商店街を埋め尽くす人達はみんな、 大きい人…