ふっくらとした花びら型をした月が地平線の上辺りを朧に漂っている。 湿り気のある風が、触れた瞬間の熱さと通り過ぎてゆく涼しさを残して去って行く。 蝉の声がジージーと風にまとわりつくように聞こえて、夏の真っ盛りにいることに ふと気づく。 昼のうち…
「昨日まで暖かかったんですよ」と、タクシーの運転手さんが言う。 半袖を着た宮古島の人達は、予想外の寒さに皆寒そうにしている。 運転手さんの袖から覗く腕にも、しっかりと鳥肌が立っていた。 車の免許は2年前にとったきり。 運転技量は命が幾つあって…
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