お誘い電話
「ねぇ、明日・・・暇?」
携帯がネバーエンディングストーリーのテーマ曲を歌うのを止めると、
友人の声が飛び込んできた。
二人して山登りに行けば、誰もいない山道を大声で歌い合い、語り合い、
くすくす笑いつつ、道に迷って真っ青になり、
麓の温泉でのんびりしていたら帰りの電車を逃しそうになって大慌てで走り出す。
東京生まれ、育ちのわりに二人して健脚なので、
一緒にいると山登りも山歩きになりがちな愛すべきお友達^^
話題の広さと深さは同世代をぽんと突き抜けているような凄い方。
「明日?夜?空いてるわよ」もしや夕飯のお誘い?
久しぶりの(といっても1ヵ月半ほど)友人の声に心が弾む。
「あ、ほんと?」と、嬉しそうな友人の声。
なのに、すぐに「う〜ん、でも・・・」と、電話口で悩んでいる。
誘った人が、誘いながら迷っている!
これは、誘われた側として聞き出すのが義務。
「何?なに?なに?何のお誘い?」周りの商店街の音などものともせずに私は尋ねる。
「ん〜、でも・・・遠いのよねー、好みもあるし・・」
「なぁに、何、何?何でしょう??」
「。。さんのコンサート行かない?」
「え?」
「。。さん」
「え?米良さん?もののけの?行きた〜い」
「うん。そうそう、三輪さん」
「え?待って、米良さん?三輪さん?」
「美輪さん」
「え〜行きたい!行きたい!行ってみたい!」
名前を言うと、ホッとしたのか堰を切ったように話し出す。
「あのね、こういうのは好みがあるし、遠いからどうかと思ったんだけど、
貴女なら一緒に行ってくれるかしらって・・」
「行く。行く、行くわ!、一度聞いてみたかったのよ!」
「何度か頑張ってたんだけど、初めて抽選で購入権が当たってね。
ファンクラブじゃないんだけど、誕生日こないだでしょう?一緒に行こう!」
彼女の浮き浮きした声が聞こえる。
「うわぁ、いいの?いいの?そんな素敵なのに誘っていただいちゃって!嬉しい!」
と、自分の声がワクワクしているのを感じる。
「でね、場所がカスカベ(春日部)なんだけど・・・」と、彼女が恐る恐る言う。
「え?」カスカベ?それは一体何処だったかしらと思考が止まる。
地理が散々、路線図を覚えることにときめいたことが無い私のこと。
カスカベ・・糟壁?どこかで聞いたことがあるような気がするけれど・・・。
「場所、どの辺?」とおそるおそる彼女に尋ねる。
「多分・・・大宮の方だと思うのだけど・・・」と、彼女もそろりと答える。
大宮!遠い・・・でも・・・行ってみたい・・・・
でも・・・遠い・・・
でも・・・見たい!聞きたい!
ちょっぴり迷う。
でも、「行きたいわ!!」行ってみたいの気持ちが勝る。
夜中が遅くなったって、構うものではないと武者震い。
電話の向こうで彼女が嬉しそうに笑うのが聞こえる。
「一緒に行こうね!」
「楽しみね!」
「どんなかしらね」
「ではでは後で詳細送るね♪」
「うん、またね」
これは一昨日の晩のこと・・・
そして昨日の美輪さんは素晴らしかった・・・
それは後ほど、またここで。。。