研ぐ

先日、お米を洗っていて思い出したのだけど
 お米を研ぐという言葉。
 研ぐという漢字は研くと書いて「みがく」とも読む。
 昔は精米の度合いが今ほど高くはないから、
 お米の表面に付いたゴミを取ったり、精米し切れていないものを取るために
 それぞれのお米を擦り付けるように洗ったわけだ。



 お米は刀を研ぐように研ぐと良いとよく言われる。
 でも、果たしてそれは出来るだろうか。
 お料理番組では、よくお米にひたひたのお水を入れて研いでいる。
 ぐるぐると水の中をお米が舞う。
 下に入ったお米を捕まえて擦り合わせる。
 ジャク、ジャクと音はするものの、刀を研いでいるようには見えない。
 だから私はあれを「研いでいる」ではなく「洗っている」のだと思っている。
 精米度が高い現代においてはそれで充分なのだろう。



 「では、「研ぐ」にはどうしたらいいのか・・・」
 水は多い方がいいのか、少ないほうがいいのか。
 結論としては少ないほうがいい。
 ひたひたどころか、これでは水に浸からないのではと思う位がちょうど良い。
 濡れた掌でギュッギュと掴むようにするとジャッジャと小気味の良い音がする。
 続けているとシャッシャッと少し金属的な音も聞こえる。
 だから研ぐというのだろう。



 そういえば、髪をとくという言葉がある。
 梳くとも、解くとも書く。
 流れを櫛でつける梳く(すく)はともかく、
 髪をほどくという意味で使われている「解く」。
 その意味はもちろんあるのだろうけれど、
 解くの前は「研く」だったのではないかと私は思っている。



 何故って、私が腰の長さほどもある髪の長さを誇っていた頃。
 お風呂上りに髪を梳くと、
 まさに刃物を研ぐ時のような「シャー、シャー」という金属的で涼しげな音が響いていたから。
 髪をとくことを、梳る(くしけずる)とも言うのだから、まんざら外れてもいない筈。



 お米を研ぎながら、こんなことばかり考えているのだから
 どうにもこうにも仕方がない。
 
 これが、昨日脱線していく筈だった。
 話の顛末。
 睡魔に負けて若干省略。