幹事の結婚

 5月1日。今日はまた雨。
 
 秋や冬と違い、
 この季節は土の匂いに混じって
 青々とした草の香りや、藤や茉莉花の甘い匂いがする。
 きっと、1年でもっとも甘い雨の匂いだ。
 雨はさらさらと細かに降っている。
 風が吹くたび、雨も揺れる。
 その定まらなさが、愛しくもあり、切なくもある。

 先日、友人の結婚式があった。
 小学校の時の小さな姿は思い出の中だけのもので、
 中学・高校時代にするすると足ばかり伸ばした彼が、
 いつもの笑顔をいっそう嬉しそうに輝かせていた。
 
 「あの、彼がね」「早いねえ」「嬉しそうね」と、
 小学生時代を知っている同士でしみじみと語る。
 彼の隣に座っている子は、
 彼が中学の頃から付き合っていたあの子ではないけれど、
 本当に嬉しそうなきらきらとした目で彼を見つめている。
 
 彼が前に付き合っていた子は、好き合ってはいたけれど、
 どちらかといえば彼が好きな女の子。
 そして結婚相手は、誰から見ても彼を好きな女の子。

 10年以上と、2年未満。
 長く付き合いすぎたといえばそうなのかもしれないけれど、
 本当に嬉しそうに笑っている二人を見ながら、
 人と人の繋がりというのは不思議なものだと思った。
 
 彼は、同窓会も、花見も、遊びも、いつも率先して幹事役をするものの、
 誰かよりも上には行かず、下にも行かない。
 
 小学校から中学へそしてその先へと進んだ後も、
 彼がいるから、私たちは連絡を取り合っているそれぞれのグループを越えて 
 繋がっていられている。

 芯はあっても柔軟で、家族がとっても大好きで、友達を本当に大好きで、
 当然彼女も大好きで・・・
 お父さんと同じ会社で、同じ仕事に就くのが夢だと語った小学生の頃の夢をしっかり叶えた。
 大切なものをどう大切にし、夢にむかって進んでいくか知っている人だ。
  
 私達は、彼の顔の広さに感嘆しつつ、
 結婚式を半同窓会のようにして、
 彼を肴に会話で過去と今とを行ったり来たり。

 いつも伸びやかで、お喋りな彼が、
 コメントを求められて真っ赤になったり、
 いつものウィットが上滑りして頓珍漢なことを返してしまったり。

 そんなちょっとした事々が、彼の嬉しさを伝える。
 彼女さんの弾ける様な笑顔が、黒目がちな瞳が、
 彼を向くたびに一層輝きを増すのがわかる。
 
 お互いがお互いを見つめる時の、
 抑えきれないような笑顔。
 嬉しそうで恥ずかしそうなその瞬間が、なんとも言えなくて。
 
 4人兄妹、大家族の彼のお家がいつも笑顔で満たされているように、
 彼らのこれからの毎日も、素敵に明るい笑顔に満たされているのだろうなと、そんな風に思った。

 次のイベントは、彼の家で開催・・・・・かもしれない。 
 でも、しばらくはない・・・・かもしれない。
 
 それもまた良し♪
 幹事様、どうぞお幸せに!