風が吹けば桶屋が儲かる。暑くなったら・・・

 
 お昼間は連日20度を超え。
 暖冬暖冬というけれど、既に初春と立春を迎えたこの季節。
 いうなれば暑春だのなんだのではないか。
 冬にしたって暖なんてとうに過ぎ去り熱冬ではないかと思う。
 
 20度超えのこの気温は4月半ば過ぎの気候だとアナウンサー。
 さもありなん。
 駅への道で狂い咲いているつつじを見つけた。
 つつじの季節は4月〜。
 椿の花が落ちぬ内、つつじの花が咲いている。
 準備期間が短かったせいなのか、
 白い斑も、皺のある花弁も妙に弱々しい。
 
 そういえば今年の辛夷も準備期間の短さか、やけに小さい。

 わかさぎ釣りは、氷が張らずやっぱり出来なかったという。
 北海道の流氷は遠くに見えても接岸をせず、氷だらけのはずの海でサーファーが波乗りをする。
 新潟のゴルフ場は雪が積もらず高笑い。
 スキー場は閑古鳥。
 雪がふらない米どころでは、今年の収穫は半分以下だと嘆いている。
 この夏、暑くなりすぎれば枯れる草花も出てくるだろう。
 
 温室栽培の野菜達でも、これだけ暑くてはどんどん季節が前倒しになるだろうし、
 旬のものを本来の旬の時にお客に提供しようと契約していたレストラン、スーパー、農家。
 暖房器具が売れなかった会社は冷房機で取り返そうと思うだろうし。
 暖房器具に加え、暖かな衣服、靴、帽子、手袋の在庫は例年では予想もつかないものになるのだろう。
 暖房はともかく、来年には型が古くなってしまうそれらの在庫処理はどうなるのか。
 
 地面が暖かくなって、海が暖かくなって、
 寒さに耐えることが無くなったら魚はやはり美味しく脂が乗ることはないかもしれない。
 海が暖かくなったら何が起こるのだろう。
 海上の上昇気流は増え、一層台風の巣に近いような状況になるのだろうか。
 
 暑い日に打ち水をすれば涼しい風が下りてくる。
 地球全体が暑くなっている現状で、海は大きな打ち水のようなもの。
 例え雨が降らなくても、今まで想像したことも無いような規模の風害が起こるのではないかしら。

 風吹けばなにが起こるのだろう。
 例えば、アフリカの砂、中国の黄沙。
 時として海を越えるそれらの砂がもっと遠方まで行くのだろうか。
 もしもどこかで火山が噴火をしたら、
 礫や火山灰はそれまでに害が及んでいた範囲を遥かに超えて世界に広がって行くのではないか。

 人的物的の害を抜かして地球という観点で見たところで、  
 もしもどこかで噴火があったら、そのエネルギーで地球の温暖化が早まるか。
 大気の中に塵芥が混ざり、日照を遮って地球の温暖化が穏やかになるのだろうか。

 などと思う。

 季節感が無くなったという話をしていると、
 必ず以前テレビで見た子ペンギンたちの姿が浮かぶ。
 
 吹雪の下で耐えられるような暖かな毛は、海で泳ぐ大人達とは違い水を吸い込む。
 猛吹雪に耐えるはずの時に、空は雨を降らせ陽射しを宛てる。
 濡れそぼった子ペンギン達は、防寒用の毛皮に包まれ、サウナ状態に耐えられず死んでいく。
 親たちはそれになす術も無い。

 そんな彼らの脇には、氷が張っている筈の大地に顔を出した陸地。
 そして世界中から訪れる観測所の出してきた廃棄物の山。
 忘れられない。

 季節感がなくなったと、言う。
 先日友人がテレビで爆笑問題の太田さんが
 『「最近の子供は冷暖房下にいて軟弱だ」と、
 よく言う大人がいるけれど、それは子供の都合ではなく、
 そういう冷暖房を「欲しがって増やしてきたのは子供じゃなくて大人なんだ」』という趣旨のことを
 言っていたと教えてくれた。
 
 全くだ。
 と、皆で笑って話したけれど、地球規模で考えれば大会の一滴とはいえ
 今の温暖化に対しての自分も同じこと。
 
 子供たちに対して軟弱だという人達も、
 今後暑さに耐え、寒さに耐えるという道を選ぶことができた。
 けれど、当然ながら耐えるよりも楽な方がいい。

 そうして、人は知らず知らず行く末を選択し、
 選択することで次代の選択肢を減らし、新しい技術で選択肢を作りながら流れてきた。
 目先のことを考えることで開かれていく確かな未来を信じて。
 
 今という時はとても辛い時代だ。
 明らかに、危険な未来を誰もが実感し、どうにかしなくてはと考えている。
 けれど、自分たちで出来る目先のことを進めた所で、
 それで本当に環境が変化していくのを止められるのかは全くわからない。
 今までの時代は自分たち自身の生活の向上を求めて選択すればよかったのに、
 急激な環境変化に伴い世界全体を考えなくてはならない。

 ロハスだなんだとブームのようになっているけれど、
 正直世界を日々実感するには世界はあまりに大きく、
 個々の私たちはあまりに小さい。

 自分たちの小さな事がどれだけの貢献になるのか。
 焼け石に水ではないのか。
 それを大なり小なり個々で実感できる環境を作ること。

 それが急務なのだと思う。
 これだけ世界が暑くなって、
 国ごとでドンパチやっている余裕はもうほとんど残されていないはず。
 
 今年はアメリカで続く寒波、鳥インフルエンザ
 世界各地で起こっている水害、地震、異常気象。

 食料や飲料の大幅な値上げ、品薄など、日本国内のことだけではなく変化は
 世界にあっという間に訪れるような気がする。
 
 今までは『おかしいような「気がする」』でなんとか済んでいたものが
 今年は『おかしい』と明らかに断言できる。

 今年は以前から危惧されているマラリアを媒介する蚊も、
 まず間違いなく生活できるようになってしまうのだろうし・・。

 もう怖ろしいと言っているだけで済んだ時代は過ぎてしまったような気がする。
 それなのに・・・・どうしたらよいのだろう。