日本テレワークの人達

 不二家の工場にネズミが50匹以上だの、
 あるある大辞典がデーターを捏造だのとマスコミは大きくそれを取り上げている。
 聞けば聞くほど、
 周辺に安倍首相支持の人が少ないせいか、あの支持率もどうなのかしらと気に掛かる。
 
 あるある大事典のファンではないけど、
 あるあるの事件は私にとってとても残念でしかたない。
 事件を起こしたその会社名が私の知っている会社でもあったから。

 大学に入ってから2年以上、
 私は日本テレワークの担当している番組でアルバイトをしていた。
 アルバイトといっても会社内部に入り込むものではなくて、
 番組の時間帯だけ友人達と電話を取らせてもらうだけ。
 末端も末端、テレワークという組織のことなど全くわからないという程度。

 それでも、
 昼間の9時や10時に始まるような番組なのに、前夜の打ち合わせで電話をすると
 朝方の1時2時、3時4時でも連絡がついた。
 タバコの煙の充満するようなスタッフルームで男女の区別も無しに雑魚寝して、
 精一杯を本番の時に出せる様にと精一杯。
 本番は皆様いつも寝不足で赤みがかった眼をしていた。 

 先輩をはじめ、就職の話が出る頃、
 マスコミを目指す人が就業環境の話を聞いた。 
 その時ちょうど仲が良かったスタッフさんは
 「制作会社は辛いから、やるなら局付きにした方がいいよ」と真面目な顔で忠告をした。
 それを見ていた仲のよかったプロデューサーが、
 「どうしても来たくてうちでも良いなら、言っておくよ」と後でこっそり私に言った。
 だからもし、その時そちらへ頼んでいたら、私は渦中にいたかもしれない。

 日本テレワークの皆様が激務なのは端から見ていて、
 確かによくよくわかっていたので、残念ながら丁重にお断りをすることにした。 
 今思うと、当時にしては勿体無くて、今にしてみれば良かったのかも。

 アルバイトをしている間、1人のスタッフさんが入院をすることがあった。
 理由は過労。
 その時は「うちの人間で、入院しない人なんていない」だなんて、他のスタッフさんが嘯いた。
 いつもとってもにこにこと、アルバイトの私達にも気を配ってくれる方の入院。

 皆さん口では忙しいと文句は言いつつ、TVの制作に関わっているのだからとプライドを持ち、
 忙しいことに充実した思いがあると、私からはそう見えた。
 さすがテレビ業界と言うべきか、笑顔の少ない人がいない。
 気遣って下さる方ばかり。

 スタッフんが入院したその時も、
 スタッフ仲間のお一人がアルバイトの私達にお菓子を配り、
 「もしよかったら、お見舞いメール、『早く戻ってきてくださいね』って
 送ってあげてくれないかなあ。あの人あれで淋しがり屋で心配性で、早く戻ってきたがってるから」
 そう言って、拝むように私達に仰った。

 お見舞いメールを受け取られたスタッフの方はそれを随分励みにしてくださったらしく、
 メールを送った一人一人に「ありがとう」と、小さな御礼のお菓子をくれた。
 
 私が知ってるテレワークの方々は、実験然り、行動然り、
 誠実で、真面目で、明るくて
 番組の構成上で、目立たせたい数値があったら、
 それを上に書くか、下に書くか、太字で書くかと言うような至極当前の編集は
 普通の番組と同じようにやっていたけれど、
 捏造なんてことが出来るような人達じゃなかった。

 データー結果が駄目ならば、駄目なことをネタにして、
 新しい観点で別のテーマを作り上げてしまうような、そんなタフさがそこにはあった。

 そこにいる大多数の人がどんなに良い人だって、
 公共の電波を使い、実際には無いデーターで、
 見る人がそれを真実だと思うようなものを作ったら、
 やっぱりそれは詐欺を働いたことになり、
 会社としての姿勢や監督責任を問われることになるのは仕方ない。

 会社というのは大きくなればなるほどに、
 上と下とが密接に結ばれず監督しにくくなるのも当然。
 大多数がどんなに良くても、明らかな間違いが少しもあれば他もグレーに見えてくる。

 一時は随分沢山話をさせていただいた方たちの会社なだけに、
 今回の事、残念でしかたない。