旭山動物園2(動物達+α)

昨晩からぐっと冷え込み、今日の東京はセーターが必要なほど寒い。
 15度。
 先週行った北海道の昼間の気候と似ているけれど、晴れていたあちらと違って
 こちらはどんよりとした曇り空。
 陽射しがない分、寒く感じる。
 湿り気を帯びた落ち葉が道を、音を立てながら北風に押されて転がっていくのが
 無闇に今日の気候にあっているようで身を縮めた。
 
 旭山動物園に行って一番印象に残ったのは動物達の表情。
 日本で一番入場者数が多いだけあってとにかく観客が多い。
 動物達の姿を興味津々で覗き込む。
 それを動物達がキラキラとした目で覗き返す。
 異常な数の人間に見られていると言うのに、見られることに飽きていない。
 これってかなり凄いことなんだと思う。
 どんな動物だって危害が加わらないと知っても
 他のものにそうジロジロ見つめられるのは気分のいいことではない筈なのだから。
 
 クモザル館へ行くと
 小さなクモザルの子供が奥の方で程ほどにしている両親を尻目に、
 細くて長い尻尾を使って地上80cm位の所からだらりと地上まで垂れ下がったロープに
 ぶら下がったまま、遠心力でぐるんぐるんとアスファルトの上を回りながら遊んでいる。
 尻尾で掴まり、片手で掴まり、クルクルと回っては嬉しそうにしている。
 高いところに尻尾を掛けたまま、
 硝子のぎりぎりの辺りまで走ってきてブランコのように後ろへと揺れる。
 尻尾を持たない私にとって、
 その子の遊び方はそんな細い尻尾でぶら下がっては切れてしまうのではと
 思わず心配してしまうほどなのに
 あちらはへっちゃらで「すごいでしょう」とでも言うみたいに目をくりくりとさせている。
 
 白熊館へ行けば
 白熊が水の中で毛皮をなびかせ、
 むくむくとした大きなスノーマンのようなおしりを見せたかと思うと
 壁にぶつかる形で大きな水しぶきを上げて方向転換をして戻ってくる。
 無数の大きな気泡が白熊の脇を後を追いかける。
 巨大な白い塊となった白熊が分厚い硝子の向こうからこちらにちらりと目を向けると
 一層大きな気泡を口から一気に噴き出して硝子に沿いながら上昇し、息継ぎをしてまた泳ぐ。
 
 遠くで水しぶきが上がって、水路にもう一頭の白熊がやってくる。
 水路の太さは2頭がぎりぎり擦れ違えるかどうかという所。
 白い2頭がゆっくりとお互いの様子を伺うようにしばらく泳ぐ。
 白い毛皮が水中で熊の筋肉の動きに若干遅れてゆらゆらうごめく。
 
 突然、一頭が相手を甘噛みする。
 もう一頭も応戦する。
 最初は遊びのような形で水路を行き来しながらぶつかる時に噛み合っていたのに、
 段々と団子のようになってゆく。
 イメージの中で思っていた以上の大きな熊の手が、片方の熊を叩く。
 叩かれた方も反動を利用するように体当たりしながら叩く。
 叩く、噛みつく、泳ぐ、追いかける、追いかけられる。
 硝子の壁にぶつかってくる。
 分厚い硝子の向こうでの攻防に硝子の側を離れられない。
 
 どれだけの間攻防が続いたか、片方が勝ち、
 勝者は陸に上がってのしのしと歩いては上を仰ぎ、
 敗者が上陸しようとするのをぎっと睨んで止めさせ、
 敗者は首だけを水から出してしょんぼりと勝者を見上げた。



 オランウータン館は
 ロッククライミング用のような突起がカラフルに塗られた壁と、大きなハンモック。
 そして母と子。
 新聞をびりびりと破りながら口にくわえたかと思うとハンモックに敷き、
 のんびりとした印象ながらしっかりとした膂力でもって壁を登り、位置を移動するお母さん。
 垂らされたロープなどで遊びながらも、一定以上の距離が離れると慌ててお母さんを追いかける子供。
 オランウータンの母子の瞳は真っ黒で何もかもを見通すような純粋な輝きがあって、
 「森の賢人」と言われる意味が感覚として理解ができる。



 硝子のない展示の部屋で私と友人は飽きることなく
 オランウータンの葉はこの姿を目で追った。
 硝子のはめ込まれたチンパンジーの森も長いロープが垂れていたり、
 大きなジャングルジムのような中で暮らしている姿が見えるのだけれど、
 私はオランウータン館の方が好きだ。
 
 ただ、それが硝子のはめ込まれていない展示のせいなのか、
 単にオランウータンの方がチンパンジーより好きなのか。
 そこのところはよくわからない。



 以前ニュースにもなったカピバラの展示
 (猿・・確かクモザルと一緒に展示していたら餌の取り合いで猿が一頭死んでしまった)、
 らくだもいた、サル山もあった、オスのオランウータンの巨体が大きな鉄柱を登って行くのも見た。



 チューブの中を通りぬけると弾丸のように素早くペンギンが頭上を飛んでいくのを見て
 ペンギンは海の中を飛ぶのだと思った。
 ぺんぎんのもぐもぐタイムには
 他の群れの間へ入ってしまったペンギンが他種のペンギンと口論していたし、
 飼育員の方がダイエット中の皇帝ペンギンの紹介もしてくれた。
 ペンギン達に手をださないよう、カメラを近づけすぎないようにと注意してくださり、
 「懐きそうに思っても、ペンギンは人間になつく動物ではありません。
 餌を私から食べていても私が好きなわけではありません」と言った言葉に動物を尊重する姿が見えた。



 黒豹の毛皮の下の斑が太陽に透けてチョコレート色に染まるのを見た。
 眠っていたライオンが突然吼えてドキリと足を止めた。
 絶滅が心配されるアムール虎の美しさとなんともいえない瞳に恐ろしさを感じながら
 アムール豹も絶滅を心配されているのだったなと考えたりした。
 巨大なヒグマに、何故か食用を薦める看板を出されているエゾ鹿。
 可愛らしいコノハズクをはじめとする猛禽類
 こちらを向いていたアオバズクの頭が、くるりと180度反対側へ向くのを見て、
 ふくろうをはじめ、
 彼らはアニメなどで冗談のように描かれるように360度首を回せるのではないかと思う。
 
 旭山動物園には今、象はおらず、可愛らしい瞳をしたキリンはいる。
 いつ生まれ、どこの動物園からやってきたか、
 命名者まで書かれている名札をみると動物たちとの繋がりが感じられ、嬉しくって笑ってしまう。
 それにしても、愛称・・と書かれているけれど、愛称はあだ名。
 本名は?と聞きたくなってしまうちょっと意地の悪い自分を見つける。



 山をくりぬくように作られた
 大きな玩具箱のような動物園。
 一体どんな人がデザインしたのか?
 日本人によるものなのか、ちょっと知りたい。



 
 因みに、お土産に変わったものを買ってくると評判の私。
 楽しんでもらってもらえればよいのだけれど・・・
 今回の北海道で買ってきたものは・・・
 1、contamiさんお勧めの氷下魚の一夜漬け、
  同じく干物(一夜漬けが空港まで見つからなかったので諦めて購入)
 2、旭山動物園東門外にて購入した新米「朧月」1キロ 初めて食べると言うぐらい水分たっぷり。
   他に、このお店では新米「綾」(もち米)、「ナナツホシ」(男山酒造使用品種)
      他2種が置いてあった模様。
 3、旭山動物園のイラストが入ったキャラメル3個
   (1、ノーマル2、白樺樹液入り、3、ガラナエキス入り)
 4、トラピスト修道院特製バター飴
 5、リクエストのあった六花亭チョコレート
 6、白樺の樹液 3本
 7、ラベンダー風味のラムネ飲料 1本



 お土産の総重量は5.2キロ。
 やっぱり少々重過ぎました。