デートプラン

時々、男友達と話していると
 「明日、デートなんだよねー、どこがいいと思う?」と、聞かれる。
 さすが、年を取ったときに縁側でお茶を飲みながらまったりしようね。
 という男友達。
 「普通のデートコースってわからなくって」と言うのに
 「私だってわからないわよ」と、笑って返す。
 「こんなこと、相談してるのが彼女にばれたら怒られてしまう」と笑いながら
 要求にはまるで遠慮というものがない。



 「予算は掛からないで、個性的な・・」という人がいれば
 「予算が掛かってもいいから、美味しいところ」
 「お洒落なところ」
 「面白いところ・・・」



 ・・・ちょっと、ちょっと、彼女に言えないデート予算なんて私に伝えちゃっても良いの?
 と、笑ってしまうほどざっくばらん。



 勿論、自分で知っているお店はあるのだろうけど、
 それが中々思い出せないなんて場合も多い。



 私の場合、さっと教えると言うよりも
 カウンセリングのようになることが結構多い。
 「それで、彼女は何が好きなの?」
 「どんな感じ?何をしてるの?」
 と、彼の中のイメージを軽く聞いた後、
 友人の好きなことを確認しながら隙間を埋めていく。
 
 「本当は海に行きたいんだけど・・・」と友人。
 「今日の明日で?
 「それは無理でしょ、水着だなんだって女の子は用意したいし、
 行くなら1週間はダイエットとかしたいと思うし・・・」と私。



 「だよねえ、絶対断られるような気がする」と、女心をわかる友人。
  
 一応メインプランは立ってたようで
 「海駄目だから・・・映画行こうと思ってるんだよね。ジブリなんだけど・・・」
 と切り出してきた。



 「ああ、ゲド戦記。良かったら教えてね」と返しつつ
 「どこの映画館を考えてるの?」と聞くと彼はかなり混みそうな映画館を挙げる。
 
 まず確実に1時間、2時間は並ぶ場所。
 彼女は人混みが嫌いだという・・・・。 



 「・・・・私は出来るだけ空いているとこに行くけど・・・彼女の家に近いの?」
 と聞くと、そうだという。
 「そうそう、空いているって意味では僕の地元のほうが良いんだけどね・・・・
 あ、それいいなあ、そう言って地元呼んじゃおうかなあ・・・」
 と、電話口の向こうで友人がうんうんうなずく。



 少し焦って
「空いてるのは良いけど、映画でお終いじゃないんでしょ?
 映画の後に行くところがないと、困るわよ」というと、
 それもそうだと考え込んで、そこの近くの観覧車に乗りに行こうかという。



 この暑いのに・・・・。
 おそるおそる、クーラーや窓の開閉の有無を尋ねるとどうも怪しい。
 映画の後に行くとするとお昼過ぎ。
 丸い観覧車の中の暑さは・・・・申し訳ないけれど考えるだけで嫌になる。
 イメージは良くても、彼の前で汗だくになくのはちょっと・・・。



 「女の子って、どんな風にされるのがいいのかなあ?」と聞かれても、
 彼女は彼が好きなのだから、彼と彼女の共通項がいいに決まってる。



 歌が好き、音楽が好き、体を動かすことが好き。
 彼の中の彼女のイメージは内気だけれどとっても溌剌。
 カラオケに行くのでは、ワンパターンすぎてつまらない。
 予算がなくてもそんな人なら・・・・



 「染色とかはどう?家の側なんでしょう?
 映画観て、染色やって、お家の人にも会えて・・・・
 貴方が太鼓叩きながら、彼女が歌うなんてこともありでしょ」



 と言うと
 電話口で彼が驚く声がした。
 元々、染色も好きな彼。
 ちょうどそろそろやろうかと思っていたところを言い当てて驚いたよう。
 予算がないとか、あるとかじゃなくて



 彼がやりたいだけの事では、単なる趣味の押し付けだけど
 プランはきっと
 彼のやりたいことと、彼女の好きそうなことがぶつかりそうな辺りを考えれば良い。
 自分の地元なら、綺麗なところ、好きな景色もあるのだろうし、
 暑ければ、美味しいアイスクリーム屋やカキ氷屋位知ってるはずだ。



 色んなものを作って、楽しんで、そんな彼なら
 既成のデートプランなんかじゃなくて、一緒に物づくりだって良いはずだ。
 もっとも・・・
 個人的には、ただの街歩きだって充分楽しいデートのような気もするけれど・・・。



 安く・・・と、言うのなら同じ定番でも
 実は映画より水族館やプラネタリウムの方に軍配は上がるような気がするのだけれど・・・。



 デートなんて
 結局二人が楽しく、「あの時はこうだったね」と笑顔で話せることが増えれば良いのだと思う。
  
 彼のデートがとっても素敵なものになりますように☆
 あなたなら、どんなところへ行きたいですか?