雀100まで。私は未定。

疲れたら、休む。
 喉が渇いたら水を飲む。
 それが出来れば苦労はない。
 
 雀100までと言うのと同じ。
 盆踊りの音が届くと、私の足はむずむず。
 心はわくわく。
 これを逃して夏はない。
 
 「ほんのちょっと、行ってきます」の言葉もそこそこ
 盆踊りの輪に走り寄る。
 この曲は、炭坑節か、東京音頭かはたまたズンパか・・・。
 地元で流れる曲の全ては歌えるほどに心に根付き、
 何の曲かの意識の前に腕が、体が踊りの振りをあっというまに取っている。
 
 「ちょっとだけ」が、どれだけかなんて
 踊りだしたら忘れてしまう。
 輪を取り巻く人の視線も、何もかも、全て一夜の夢のよう。
 踊りたそうにしている人は、踊りながら輪に呼び込んで
 ただただ夢中に踊りを踊る。
 
 足元の危ういおばあちゃんでも、
 2〜3歳の金魚帯した女の子でも。
 夏休みの開放感で金になった頭を誇示する高校生でも。
 何処かからきた旅行者だって
 わっかに入ればみんな同じ。
 
 この時ばかりは蚊に刺されても気づけない。
 靴ずれできても、麻痺してる。
 ぴんと指を綺麗に伸ばして
 楽しく広げて、足先にまで注意を広げて。



 やぐらの上で太鼓が響く。
 やぐらの下でも太鼓は響く。
 一重、二重に輪は重なって
 夢中になった笑顔同士がさざめいている。
 
 腕の上げ下げ、足の位置
 意識をもって踊っていれば
 少ない時間でも汗はタラタラ。
 1日2時間踊っただけで、体重のほうはぐんと落ちてる。
 本日2日目。明日を入れて結果何キロ落ちることやら?
 
 踊りつかれても、疲れなくても
 音が響けば知らないうちに体が踊る。
 飲み物なんか買いに行ってる余裕なし。
 食べ物だって、ほおばっている余裕なし。
 
 明日はついに土曜日で3時間半は踊れる予定。
 早く来ないかと浮き浮きしながら
 最終日だから来て欲しくない。
 そんな相反した思いを持って明日を待つ。



 一年中、あるならいいのに。
 年中踊ってられたら良いのに・・・
 
 雀は100まで、私は幾つになったら夢中にならなくなるものか・・・
 ああ、もう、早く踊りたい。