わけわからない

おかしな夢を見た。
 何かの講演会の様なところで演者が語る。
 
 「つまりだな、宇宙ってものがどんなものかはわかっていないんだ。」



 「原子ってものが見つかるまで、分子が最小でそれ以上小さいものはなかっただろう?
 だったら、これからもっと小さいものも見つからないとは言い切れないじゃないか。」



 と、演者はにまりと笑う。



 「もしも、もっともっと小さなものがあるとして、
 今見ているのと全く違う宇宙が、小さな文明があるとして・・・」
 
 「そうだな 
 君が今朝歯を磨いた時の歯磨き粉の立てた小さな泡が、
 知られていない新たな宇宙なのかも知れない。
 艶々とした表面の中に、別の君のような小さな文明があったかもしれない。
 そう思わないか?」
 
 と、こちらにちらりと目くばせをする。
 
 「そう、きっと
 その文明は、泡が出来て消えるまでに何世代もの世代交代の時代があるんだ。」
 
 話を飛び石のように展開させる演者に
 訳がわからないとブスッとしていると。



 演者は
 鼻で笑って、指を振り回した。



 「この小さな泡の、目に見えないような宇宙の片隅に生まれる文明だよ?
 私達の時の経過と同じはずが無いじゃないか。
 人とウスバカゲロウとの時間が違うように泡の住人とは時間の質が違うんだ。」



 「そんなことってありえない!」と思わず叫ぶと。



 演者はぴんと伸ばした指を私の顔にぴたりと突きつけた。



 「「ありえない」とは何事だい?物事にありえないことなど無い。
 歴史は主観の積み重なりで、真に客観的なことなど何もありはしない。
 真実と言われた物も、何かがあれば覆されることかもしれない。」



 「「信じられない、わからない、嘘みたい」のような言葉は、なんてことない。
 君自身の感情だ。
 けれど、「ありえない」とはなにごとだ?
 自分が納得いかないからって、周りの世界を無理やり同調さすとでも言うのかね。
 そんな自己中心的で、狭量な人間ではよろしくないぞ。」



 と、説教をされた所で目が覚めた。
 しっかりと寝たはずなのに、まるで疲れが取れた気がしない。
 こんな夢を提供してくださった
 私の知らない内なる私は一体何を考えているのか・・・