F1なんてわからないけど・・・

体を圧迫するような暑さが朝早くから気怠げにまとわりついてくる。
 日に日に庭から聞こえる虫の声が太くなるのと比例して
 温度計の数値は高くなっていく。



 道に打ち水をすると、ジュッと音を立てて蒸発し小さな虹がいくつも浮かぶ。
 虹をさぁっと吹き消すように
 ひんやりとした風が吹き込んできて
 周囲で停滞していた暑さの塊が消えていく。
 ふつふつと浮いていた汗が払われる。
 夜に水をやるのとはまた違う趣があって面白い。



 先日、友人が今度関わるようになった雑誌を買いに行く。
 F1グランプリ特集。
 まず、普段なら手に取ることはない。
 色々なことに興味を持っていきたいとは思うけれど
 どうしても好みというのが出てきてしまう。
 
 免許はどうにかこうにか取ったものの、ほぼ持ち歩きのしやすい身分証明書と化している。
 小学生時代は遊園地のゴーカートで渋滞を作ったことがある位だ。
 免許取得後も自分の運転する車が一番同乗したくない車になっている。
 機械の仕組みなどは面白そうだと思うけれど、
 そこまで車に興味はなかった。
 
 その雑誌を手にして思ったことは
 本当にレースが好きな方達が、楽しくて仕方がないように書いているんだろうなと言うこと。
 レースはまるっきりの門外漢だけど
 書いている人たちが大好きでしょうがないと思って書いているのが
 読んでいるこちらにぐいぐいと伝わってきてとても楽しい。



 特定のジャンルの雑誌と言うのは大概あまりにもマニア向けすぎて
 読めない文章も多いように思うけれど、そんなこともなく。



 このドライバーはこんな性格なんだ。
 どんなことを考えているんだ。
 誤解されやすいけど違うんだ。
 と、角度を変え、一生懸命に伝えようと書かれているのが伝わってくる。



 それが、とても楽しい。
 色んな角度から多角的に情熱を持って見る。
 最近そんな雑誌にあまりお目にかかっていないような気がする。
 この雑誌が、マニア向けに近い位置づけだからかもしれないけれど
 社会派の雑誌でも新聞でも
 こんな風に一つの事件を多角的に、情熱を持って様々な捕らえ方をしていたら
 一層面白くなるのにと思う。



 別に砕けた文章が欲しいわけでもガチガチの文章が欲しいわけでもない。
 けれど、人が心を込めた文章は
 やっぱりどこかそれが伝わってくるから
 そんな記事を少しでも多く読んでいきたいだなんてちょっと偉そうなことを考える。
 
 少し前の時代と違って
 長く、一つの事件に関わっていくのが
 難しくなっているのだと思う。
 少子化は叫ばれているけれど、
 高齢化があるからって人口が戦後にドンと増えて今に至っているのは確かだから
 その分犯罪の件数も事故の件数もぐんと上がっているのだろうと思う。
 景気だって上下しているわけだし
 記者の人達がゆったりと一つに関わっていることも出来ないのはわかるけれど。。。



 何かを好きな人達が
 好きな気持ちで集まって作り上げているものを読むと
 その文章の向こうに無数の好きと楽しいと伝えたいの想いがあって、
 こちらまで楽しいの衝動に突き動かされる。



 そのうちいつか・・・
 レースの好きな友人に連れて行ってもらおうかしら・・・