ゲテモノではない

 先日、知り合いのおじさまたちと焼き鳥屋へ行った。
 お仕事の話、誰々の評価、結婚とは・・・
 皆様色々あったらしくて大盛り上がり。
 そのうち
 なぜか変わった食べ物話に変わって言った。
 けっしてゲテモノ話ではない(筈)
 その話なら私も負けない。
 
 話の初めはなんだったか・・・
 「朝からカレーは是か否か」
 「鳥インフルエンザで鴨が・・・」
 とか真面目なんだか、くだらないんだかそんな話が発端だった。

 「そういえば、起きてきたらカンガルーの肉が・・・」
 と私が言えば、「ダチョウは淡白でいいよな」と左から。
 「カエルはもうゲテモノじゃなくなったよね」という話があって、
 気づけばそこにいた全員が1度は食べたことがあった。
 そうかと思えば「蠍は食べるもんじゃない」と左。
 虫は正直食べたくないとみんなでフムフムと同意する。
 そうかと思えば、食べるところは少ないけれどピラニアは美味しいと盛り上がり、
 以前「久我山の公園でピラニアの稚魚が越冬していたというニュースがあった」とか
 「ピラニアの造りを作った後に、
 骨と内臓をつけたままのピラニアを水槽に戻して餌をやると30分は元気に食べる」とか
 そんな話を真面目に語る。
 「マンボウは白身で美味しい」と言えば、
 「やっぱりくらげを食べているから淡白なのか」
 と、返答の仕様がない返事が返ってくる。
 そうかと思えば「おれ、くらげが飼いたい」とポツリとつぶやく人がいる。
 「くらげは水族館でも難しい」と言う人がいれば
 「熱帯魚と思って飼えばいけるのでは?」と返す人。
 「死んだらまた海に取りに行く」と、子供の情操教育に悪いことを呟くおじ様がいる。
 「環境のためにもいっそ越前くらげにしたら?」と訊ねると
 「あんな巨大なのでは破産だ」と大笑い。
 
 いつだったか、起きたてにワニのステーキがあった・・・と話すと、
 シンガポールに暮らしていた頃は連日ワニを食べに通っていたと豪語する人がいる。
 「美味くて美味くて・・・」と、
 言いながらシンガポールのワニ屋の名前を教えてくれた。
 けれど
 ワニの為にシンガポールへ行きたい気持ちにはどうもならない。
 以前に母が「いちごの炊き込みご飯」を作った話をすると
 「絶対嫌だ!」といいながら、やけにしっかり作り方を聞いてくる。
 この土日に作って食べると言っていたけど・・・・ほんとに作る気なのかしら?
 レシピを教えるその代わり、
 私が買って来たアヒルの黄身入りの月餅を奪ってくれたおじ様に
 どんな味だったかの感想を教えてくれるようにお願いをする。
 食いしん坊の好奇心は止まらない。
 ゲテモノ食いでは多分・・・・多分ないはずだけど・・・。
 
 そのうち話は
 モーリシャス島のご飯は美味しい。
 どこが一体最高のリゾートかという話に移動。
 おかしな夜はそうしてどんどん更けていく。