あの青色はいただけない

 例年より、やはり白い桜が満開の花雲の中から
 ひとひら、ふたひらの花びらが降りてくる。
 ふわふわと逃げるのを捕まえると、するすると柔らかな手触りが気持ちいい。
 
 昼間は、近くの公園も花見客で一杯でまともに歩くことも出来ず
 動く歩道のようになった道を、前の人と後ろの人のペースに合わせて歩くことになる。
 開けたところではびっちりと青いシートが敷かれ、
 間抜け小足の私でもシートを踏まずに歩くことも出来ない。
 
 朝、酒浸しになった公園を歩く。
 ここ数日の酒宴の影響は地面まで及び、
 歩くだけで酔いながら桜を見上げているような気がする。
 真っ青なシートの上にぽつぽつと花見客が残っているのを見ながら、
 桜を見るのに、青いシートはやっぱり頂けないのではと考える。
 桜の色がシートの色に負けてしまう。
 シートの会社の方も、もっと風情があるシートを作ってくれないものかしら。
 
 お花見の宴会は好きなのだけど、
 あのシートの色は本当にいただけない。