「プライドと偏見」より

 明日、時計通り正確に言えば今日。
 映画「プライドと偏見」が公開される。
 昨年、友人に誘ってもらった試写会で観た映画。
 
 正直な所、題名になっている「プライド」や「偏見」が
 日本語で言うほどしっかりとした形として
 役者達の行動の基にあったようには思えない。
 思えないけれど、とても良い映画だった。
 何が良いって、とにかく生きた映像がいい。
 
 当時の田舎の貴族達の生活はきっとこんなだったのだろうなと思わせるような
 熱気の溢れるパーティー会場。
 全身でパーティーを楽しみながら、満員電車の中のように身を寄せ合う人々。
 人々の会話や思いが充満しているようで、映画の中とは思えないほど生々しい。
 鳥たちは、こんな風に生活の脇にいたのだろう。
 犬たちは家の中でこんな風に駆け回ったのだろう。
 人は、ただ綺麗に着飾ってパーティーに行っていたのではなく
 こんな風に生活の中でドレスを着ていたのだろう。
 映画から、生活の臭いがした。

 昔、西洋の都市では
 残飯をそのまま道に撒き、それを豚が食べていたらしい。
 当時の面影の残る綺麗な都市の風景を見ながら、
 私達はそんなことをほとんど思い出すことは無い。
 普段、思い出すこともない当時の生活は、
 ロマンチックに見える光景の裏に確かにあったものなのに。
 映画を観ながらそんなことをちょっと考えていた。
 映画の間にそんなことを考えていたとわかったら・・怒られてしまうだろうか。
 
 一般的に、貴族の生活が出てくる映画は華やかだ。
 この映画でも、素晴らしく美麗なお屋敷や彫刻、天井画の数々が見られる。
 男優は、映画の中で時が進むほど素敵になる。
 女性にとってとても都合がよく、ロマンチックなものも沢山出てくる。
 でも、この映画のメインはきっとそこだけではない。

 意地悪な女性もいれば可愛らしい女性もいる。
 無分別な女性もいれば、堅実な女性もいる。
 臆病な女性もいれば、放埓な女性もいる。

 当時の女性達が置かれた環境と、生活。
 身分の関わる結婚と恋。
 それがちゃんと背骨になっている。
 今にも繋がる様々な思いを持って、みんな生きて生活している。

 だから、女性にとって都合がよすぎじゃないかしら?
 という展開がかなりあっても、映画の流れはバラバラにならない。
 男性に勧めるのはどうだろう?
 とは思うけれど、おそらく女性にとってはかなり気持ちの良い映画。
 観ていてラストは十分予測のつくものだけど、
 楽しくそのラストを待てる映画。

 デート映画にはお勧めします。
 西洋的な建築や、美術が好きな方、当時の生活が好きな方にもお勧め。
 でも・・・そうでない男性は・・・
 出てくる男性達に「なんでそこまで!」と、やきもきされるかもしれません。
 「プライドと偏見」女性から見てロマンチックな映画です。