「ちょうどいい」って難しい

 最近、布団乾燥機と仲が良い。
 寒がりな私にと母が買ってきてくれたのだ。
 横30数センチ、縦15センチ、高さ30センチの小柄な体で
 夜、賑やかな排気音を立てて布団を温めてくれる。
 昔、親戚の方が火傷をしたとかで湯たんぽ禁止令の出ている我が家では心強い新勢力だ。
 エアコンではやっぱり喉が痛くなる。
 ほこほこに温まったお布団に冷え切った足を入れると
 そのまま意識が切れそうに気持ちがいい。

 勿論、やり過ぎは禁物。
 この間調子に乗って2時間以上温めた布団に入ったら・・・・・
 熱すぎて眠れなかった。
 やっぱり丁度いいのが、ちょうどいい。
 
 「ちょうどいい」って難しい。
 しばらく前・・・確か去年の終わりか今年の始め、
 ある料理本がヒットしていた。
 一つまみってどの位かとか、
 塩一振りってどの位かとかの数字で著されたもの。
 
 男性は読むかどうか分からないけど、適度とか適宜とか適量とか・・・
 料理本の計量に怪しげな所は多い。
 
 「一つまみ」って言っても、「誰の一つまみ」なのか?
 人によって指の太さが違うのだから、量が若干違うのは当たり前。
 
 その辺はまぁ好みで・・・
 と、書いた方は思うのだろうけれど、
 料理しなれた主婦なら知らず、慣れていない人からしたら、
 それはやっぱり悪魔の言葉。

 「ちょうどいい」というのを分かるには
 「ちょうどいい」というものを知っていなくちゃならない。
 知らない人には「ちょうどいい」がわからない。
 でも、「ちょうどいい」を知ってる人は、
 「なんとなくこのぐらい」しか分からない。
 料理ってそんなことがある。

 料理の、本当に基礎の基礎だけを集めたその本が売れているのを見て
 「ああ、本当に基礎って大切なのだな」
 と思った。

 大雑把な私としては
 そこまできっちりとやらなければいけないのかは疑問だけれど、
 自分なりの指針を持つってやっぱり難しいことなのかもしれない。
 
 料理であれ、なんであれ。
 
 「ちょうどいい」で、ふと思い出しただけなのだけど・・・