陽だまり色の贈り物

 足元に薄い茶に染まった紅葉(もみじ)が広がる。
 頭上にちりちりに縮れた葉が残っている。
 桜の葉は既に散り終えたのに、
 紅葉の葉は、紅く染まったまま葉先を丸めて枝に留まっている。

 今年の冬は何か変。
 各地で大雪のニュース有り。

 寒い12月の季節なのに、
 なんとなく秋の気分が抜けきらないのは、
 紅い絨毯が敷かれないからなのかしら。
 
 公園の池面に茶色の樅や杉の葉が、小さな塊を作りあって浮いている。
 遠目に見ると、まるで池が凍っているようにも見える。
 葉をなくした桜木の間から見える池の景色は、水墨画に近い。
 寒くなってマフラーをしっかりと巻きなおすと
 鴨が3羽、目の前を泳いでいった。
 人と一緒で、鴨も寒そうに見えるのは
 見ている私の気のせいなのかな。

 一昨日、友人から誕生日のプレゼントを貰った。
 1ヶ月きっかり遅れて。
 忙しい彼女の1日の、たった3時間の休憩時間を丸々くれた。

 友人のお母様の手編みのポンチョ(ケープかな?)。
 ふんわりとしたひよこ色のそれは、
 どこかに忘れていた日溜り色をしている。
 
 「いいの?」
 と、言いながら、
 私の中では既にそれを着て歩いている自分が頭の中にいる。
 嬉しいものって、やっぱりついついそうなってしまう。 

 「実はこれね、お揃いなの。」と、友人。
 彼女は青で
 私は黄色。
 
 我が家では料理が得意な人がいても、
 裁縫・編み物の得意な人は見当たらない。
 だから、こういう物を頂くのはまず無い。
 殆ど、無い。
 綺麗に編まれたそれは、
 私にはとっても遠い別世界の物のようでくらくらする。

 もし私がこんな素敵なのを作るとしたら、
 一体何ヶ月くらい掛かってしまうのかな。
 
 ふと、
 幼稚園の頃に仲良かった子が、
 お母様に服を作ってもらっていたのを少し羨ましく思っていた頃のことを思い出した。
 あの頃の自分と、今の自分の両方がプレゼントを貰ってニコニコしていた。
 あんまりにこにこしていたからかな。
  
 友人が着る時の注意を一言くれた。
 「(お互い)肌弱いから、中にとっくりかなんか着てね」と。
 そして、
 「『とっくり』は古いね、ハイネック、ハイネック」と、二人して笑った。
 笑いながら、何度も頷いた。
 
 正月が過ぎたらまた会える予定。
 次に彼女と会うときは、おそろいのポンチョで会えるかな?
 上にコートを羽織れないから、時期的にお揃いは難しいかな?
 
 来年が来るのがまた待ち遠しくなった。
 来年まで、あと少し。
 そろそろ鬼も笑わないはず。
 
 家に帰って、どんな服に合わせようかと楽しみながら
 ひよこ色のポンチョを眺めた。
 近いうちに、色がなくなってきた冬の道を
 ひよこ色を纏って歩きに行く。



 そういえば・・・
 「とっくり」とか「襟巻き」とかって言葉、全然使われなくなったな。
 とっくりはともかく、襟巻きはとても好きな言葉なのだけど・・・