電話!しまった!またやった!


「じゃあ、またね」
「ばいばい」
 と、電話を切る。
 
 そして・・・
 
 誰もいない道端で携帯片手に
 手を振っている自分に
 愕然とする。

 いつもというわけじゃないけれど、気持ちの入った電話の後は特にそう。
 人込みの中だとなお恥ずかしい。
 
 大好きな友達から、
 目上の方との大切なお話に、
 相談事まで。

 「ごめんなさい」とか、
 「ありがとう」とか、
 電話越しでは必要も無いのに
 何度も頭を下げていたりする。

 横に友達がいたりすれば
 「何であんなに反応するの?」
 と、笑われる。

 自分の気持ちの表れだから
 仕方ないとは思うのだけど。
 電話と一緒に自分が動くのは
 やっぱり少しきまりが悪い。

 電車に乗っている時に、
 「ごめん、今電車だから!」
 と、空いてる片手で拝んでいる人がいる。

 あの拝み手は
 通話相手と周囲の人に向けられているのだとは思うのだけど。

 電車内通話禁止のアナウンスの下、
 「ここにも仲間が!」と
 少し慰められている。

 いつもやっている無意識の行動が、
 ふと気がつくと出てしまっている。
 これって結構あることだと思う。

 家に帰ってメールチェック・・・
 のつもりが、うっかりブログを開いていたり。
 (しかもそれが、パスワードの寸前まで無意識だったり)
 お茶を飲もうと薬缶に火をつけたまま、
 ミネラルウォーターのフタを捻っていたり。
 (ペットボトルはあまり好きじゃない。重いけれどガラス瓶の復活希望!)
 雨降りなのに、
 花に水をやろうとベランダに出ようとしたり。
 (要はうっかり者なわけだけど) 
 
 携帯電話はいつも一緒にあるものだから、
 余計にそれが露骨に出てきて。
 意識に上る。

 携帯電話が普及して、公衆電話の真正面で
 「じゃあ、失礼します」と
 お辞儀してるの見られなくなったのは、
 まあよいことではあるのだけれど・・・。

 人がうっかり反応している時は
 新しい面を発見したようで嬉しくなるのに、
 自分の無意識の行動って、知らない自分の芯が覗くようで若干怖い。
 でも結構気にかかる。

 やったことは覚えているけど、
 自分では絶対見られない自分。
 自分に内緒で見てみたい。
 
 なんでかな、
 電話を持ってるときは、
 前に相手がいないのを忘れがち。
 話が深くて楽しいからこそ、
 自分の動きに気づいた時は近くにいないのがなんだか寂しい。