東京駅のお風呂


 ベランダのトマトの葉っぱが一部、くるりと裏返って茶色くなってきた。
 でも、もう私は気にしない。
 葉が茶色くなりながらも、ついている実が真っ赤に色づいてきたから。
 きっと葉っぱの役目はそろそろ終わり。
 病気や水の問題ではなかったよう。
 
 ベランダの草木のこれから。
 今、気になるのは蚊を寄せないゼラニウムの行く末のみ。
 リン粉のような粉がつくことも、キシキシとした臭いがすることも好きじゃないけど
 蚊を寄せないらしいことがとってもとってもありがたい。
 これさえあれば、今年の夏は大丈夫かな?
 どうぞ、枯れませんように。
 
 一昨日、日経新聞の夕刊の11面に高橋たか子さんという方が
 森万紀子さんという方の「黄色い娼婦」という本の中で、
 東京駅の地下にある銭湯に女性が1人で行く描写があり、その姿がいい!っっていうようなことが
 書かれていたのだけど・・・

 私は驚いた。
 ちょっと待ってと心で叫んだ。

 東京駅の銭湯。これ、意外と知られていないらしいのだけど
 実は東京駅が出来たときからあるもの。
 文明改革だー!明治だー!他の国に負けない、日本を代表する駅を!
 って頑張って作っていたら、ある時こつんと温泉を掘り当ててしまった。
 
 計画と違うから大慌てで埋めなおそうとしたけれど・・・
 時既に遅し。
 湯量が多すぎて埋め戻せず、急遽銭湯ができたのだとか。
 嘘のようなほんとの話。
 当然、公共料金・・・たしか200円かそこらで入れたはずだ。
 
 ううん、そんなことはどうでもいい。
 私が注目したいのは、「女の人が1人で入った」というその一事。
 
 高校時代の先輩から話を聞いて
 大学に入ってすぐ、出来立ての友達と入る気満々お風呂セットを持って東京駅に行ったことがある。
 八重洲方面、東京駅には1カ所のサウナを含めて3ヶ所のお風呂がある。
  
 意気揚々とお風呂の場所を尋ねた私達に駅員さん達は・・・
 「温泉?」「ああ、あれじゃない。ほら、地下とあそこにあるよ」
 「ああ、あるねえ。確かサウナも・・・そうそう」
 「で、君達場所聞いてどうするの?」
  忘れもしない。若い駅員さんと初老のおじちゃまの2人組。
 「え?入ろうかと思って」当然ながら答えてお風呂セットをアピールした。
 「君達が?」おじちゃまは上から下までじーっと私達を見た。
 おじちゃまはにやっと笑って
 「あそこ、男専用だよ」と言った。
 
 せっかく来たのにってがっくりする私達に、
 「帝国鉄道時代、旅行は男のものだから、風呂も男のものしかないんだ」
 と追い討ちを掛けた。
 帝国鉄道時代から・・・うん。それなら仕方ないよね。
 私達はそうアイコンタクトを交わした。

 さらにしょんぼりとした私達に、若い駅員さんが
 「男だらけの中に、女の子。ん〜いいんじゃないの。お風呂は入っていけば」
 と、にやにや笑った。
 おじさんも笑った。
 
 !!!
 
 悄然としていた私達も腹が立って踵を返した。
 「情報ありがとうございました!」って言い放って二人で帰った。
 カバンに入れたタオルまでが「なんなのあの態度!サービス業じゃないわ!」って
 一緒に怒ってくれているように思った。

 その、銭湯が・・・・
 入れなかった上、セクハラまがいな(・・・しっかりセクハラよね)
 ことまで言われてあきらめた銭湯に女性が入れたのだとしたら、
 当時の私達って言われ損?
 
 記事の中にあった森万紀子さんてかたも、私とは同年代じゃないでしょうし
 私達の前からお風呂に入れたのだとしたら、きっと私達の行ったときも女湯はあった筈。
 もし、彼女の時代から後、
 女湯だけが閉鎖されていたのだとしても・・・やっぱりどうも釈然としない。
 
 もう一度、あそこまで行ってみなくちゃ駄目かしら?
 もし、東京駅のお風呂の話知っている人がいたら教えてください。
 今、女性はあそこに入れるのでしょうか?
 もとい女湯はあるのでしょうか? 
  
 因みに効能は意外に良いらしい・・・・




 *日経新聞の夕刊は、結構面白いものが多い。
  朝日も読むけど随分と雰囲気が違う。社風が違うと言えばそれまでだけど
  多分それは、記者の育て方の違い。朝日だところころと配置換えがあるから、
  記者は浅く広く物事を知っていることが多い(もちろん普通よりは濃いはずだけど)。
  一方日経は同じ部署に記者を長くとどめるので、簡単な記事でも深い知識を持っている人が
  書くことになる。

  あるだけの知識をあるだけ出してくれる、これは新しいニュースの時には嬉しい。
  それとその分野においてあまりわからないことは共通しているので、
  読者が知りたいことを聞いてくれるという所に朝日方式のメリットはある。

  だけど、読み物として読むときにはいっぱいある中から小出しに噛み砕いて出してくれたほうが
  わかりやすいことも多い。もちろん専門的なことがわかりすぎていて、読者が読んだときに
  「これ一体どういう意味なの」と感じる危険も無いとは言わない。

  毎日新聞なんかは日経風の教育&とことんの噛み砕き方教授の形かな。
  うん、私は結構日経が好き。
  株のことなんかサッパリ分からないけど
  日経で「私はこんな思い出このプロジェクトにとりくむ」なんて言ってた社長のプロジェクトが
  3年ぐらいしたら本当に世の中で流行したりして、
  世界はいろんな人の思惑が絡んで、
  長く準備されて表に出るものが多いのだって実感されたりもする。
  もし見た事がないようならば、ぜひ一度日経の文化面も読んでみてほしいな。
  御堅い新聞と思われているようだけど♪