なりたかったもの。

昔、自分のことを白い大蛇の生まれ変わりだと思っていた時期がある。
 白くてすべすべとした鱗で紅い目をした蛇。
 アルビノ

 ナルニア国物語や、それを始めとする本を読んで
 頭がよくて、強くて、プライドの高いケンタウロスに憧れた。
 自分がいて座じゃないのが悔しくて、13星座占いが世に出たときは
 うきうきと本を見に行った。
 (残念ながら新しい占いもいて座ではなかったけれど)
 ケンタウロスになりたくて手すりに掴まって一生懸命背筋をそらした。
 そうすれば、馬の背のように腰からお尻がまっすぐ平らになるのじゃないかと思って。
 
 風の妖精の本を読んで、綺麗に踊れるようになったなら
 私も風のようになれるかしらと
 好き勝手に踊っていたこともある。

 木の上の秘密基地が羨ましくって
 藤棚にのぼってお昼寝としゃれ込んだことも

 放課後の図書室で
 帰されたくなくて、こっそり机にもぐりこんで
 はてしない物語を気取った。
 ・・・夜中に帰って母にひどく叱られた。
 
 なりたいこと、なりたかったこと
 なれないかもしれないことを、今はいくらか知っている。
 諦めきれない気持ちもたくさんあって

 こうしたいな〜、こうなりたいな〜
 こうやったら近づけるかなって
 今もやっぱり考えている。

 昔の自分の延長線に
 今の自分がいるわけだけど
 なりたかった自分の姿に、側面に、自分はいくらか近づけてるかな?
 きちんと相手に対せる人でありたい。
 まっすぐに人を見られる人でいたい。
 何事も、考えて、
 どう自分はとらえるか。
 人はどう捕らえるか。

 自分なりの物事の仕組みを組み立てていける人になりたい。
 きちんと、言うことは言う優しさを持って、
 道を拓いていけたらと思う。

 あなたがなりたかったもの、
 なっていくものの姿はなんですか?