黙祷

 昨日、黙祷を捧げた
 亡くなった多くの人たちが
 安らかであるように、成仏されているように

 幼い頃、なんども繰り返される悪夢の1つに
 空襲の夢があった。
 近所のおじいちゃまおばあちゃまに可愛がられていたからかもしれない。

 私は細い路地の間を走っていた。
 防災頭巾をかぶって
 燃え崩れる町を走っていた。
 絶え間なく空襲警報のサイレンが聞こえる。
 焼夷弾が落ちた後、バラバラという音がして火が上がり家が崩れていく。
 こげた臭いと煙が鼻とのどをいがいがさせる。
 煙くて涙がボロボロ出てくる。
 ガラスを踏んで足が痛い。
 
 走りながら
 ふっと後ろを振り向くと
 屋根と屋根の間。
 ありえないような低さに飛行機が飛んでいた。
 怖い!
 隠れる場所も無く、足を引きずって必死で走った。
 でも
 タッタッタて音をさせて足元の砂が舞い上がって
 私は肩口が熱くなって倒れてしまった。
 飛行機から銃(?)で撃たれた!
 
 と思ったところでいつも目が覚める。
 体中が汗でぐっしょりと重たい。
 この夢を見るといつも鏡で肩をまじまじと見る。
 そこに穴が開いていないのを確認して安堵のため息をつく。
 
 一度、寝ているうちに蚊でも叩いたのか
 ささくれでも剥けたのか、
 夢で撃たれたはずの場所にちょっぴり血がついていたことがある。
 怪我も無いのに・・・と、怖くって私はボロボロ泣いた。

 私は広島や長崎の体験はTVでしか知らない。
 東京大空襲も、話でしか知らない。
 実際には私が夢見たことの、何倍も何倍も恐ろしいことが起こっていたのを知っている。

 今、戦争状態にある国々で
 そうでない国々でもひどく辛いことが起こっている。
 少しでもそれが少なくなるように。
 少しでも減らしていけるように行動できるように。
 
 心から願います。