皇帝ペンギンより

この間、映画「皇帝ペンギン」を見てきた。
 サントラが可愛い
 映像が綺麗
 
 蒼く冴え冴えと光る氷も
 ペンギン達の泳ぎの俊敏さや色っぽさ
 空で7色に怪しく揺らめくように燃えるオーロラ。
 (狐の尻尾という所があるけれど、もしあんな尻尾を持った妖狐がいるとしたら本当に怖い)

 アザラシが出て来たときは恐ろしくって腰が引け、
 友人の肘掛まで侵略してしまった。

 「アメリカみたいに擬人化がひどくなくて、良かった」
 と友人。
 確かにその通りで、擬人化されている割に嫌らしくなかった。
 (私にはそれでもちょっと多かったけど)
 擬人化されたものはたまに撮影されたものをオモチャのように好きな解釈をして
 遊んでいると感じるものがある。
 私はそれがあまり好きじゃない。
 「なにを勝手なことを」
 と思ってしまう。

 皇帝ペンギンでそれが無かったのは、
 擬人化されているのに、変に感情的な「人」の思い入れがなく
 一歩引いてせりふを当てている感があったから。
 せりふを押し付けた感じが無く、
 「自他を尊重する文化っていうのはこういうものなのかな」と思った。
 きめつけがとても少ないのだ。
 
 「相手を見ている。でも相手を尊重して制約しない」
 これ、ヨーロッパの人に多い考え方だと思う。
 非常に難しいことだ。
 この映画は擬人化していても、それが後ろに見えて心地いい。

 良い所も哀しいところも
 極力見せようとしているのは素敵だと思う。
 子供が見るのを考えてか、本当に残虐なところは出さない。
 のは、しかた無いと思う。

 でも、例えば
 卵を割ってしまったペンギンはどんな行動をするのか。
 妻ペンギンと再会したときは・・・・
 他の子供を取ろうとする母ペンギンがいる。
 父ペンギンはどうするのだろう。
 その親達の姿は言葉だけで映像としてみることが出来ない。
 私は、そこまでは描くべきところだったんじゃないかと思う。

 あとは・・・う〜ん
 効果音が多いのはいいんだけど、どれが本当の音なのか
 よくわからなくなるのが私にはちょっと微妙かな。
 個人的には本当に普通のドキュメンタリーの方が好みですが、
 映像だけでも一見の価値は有りかな。
 うん。綺麗なものを見たいって人にはおススメです。

 先週の日曜日。
 映画館は大入り満員。立ち見多数。
 
 観終って、
 この映画に1つだけ聞きたいことが私達にはあった。
 とってもいいサントラだけど、
 「フランスの映画なのにサントラだけは何故英語?」
 ほんとにどうでもいいことなんだけど。