雨の合間に

 雨・・・
 屋根に水が落ちる音が絶え間なくしている。
 なんとなく、滝の中に住んでいるみたい
 途切れない音が逆に家の中の静けさを際立たせてくれる
 階下では母がもう眠っている
 こっそり雨を浴びに行きたいけれど
 この間風邪を引いたばかり。
 自重しなくちゃいけない。
 ちょっと残念だ。
 こんな日は外に出ると
 体中に雨が沁みこんで、皮膚のすみずみから
 ずずいと水を取り込んでいるような気がするのに。
 ついでに雨の中で泣いたりしたら、
 本当に気持ち良いのに(人がいるところでは絶対にできないけれど)
 うん、非常に残念。
 
 仕方がないから本を読んだ。
 昨日買ったのはハインラインの銀河市民。
 ハインラインは当りと外れが大きいけれど、
 個人的にはちょっと外れ。
 途中までは乗ってたようなのに、最後は飽きてしまったのかな。
 普通というかありがちな落ち。

 最近当りだったのは、文芸春秋から出てる 
 M・K・シャルマの「喪失の国、日本」
 ぱらりと読んだら久々に頭がよくて気持ち良い文章で
 レジに行く間も立ち読みしてた。
 近頃、こういう文章はあまり見かけない。
 いい本を見つけたとホクホクしていたら
 この本についての話題が盛り上がっている掲示板を見つけた。
 それによると、
 「あんなにしっかり三島論が出来るなんてインド人じゃありえない!」
 「あんな夢物語みたいな出会いはない!第一他の著述が無い!」
 とのこと。
 確かに。
 掲示板のご意見ごもっとも。
 それを読んで、まるでがっくりしなかったと言ったら
  嘘。
 だけど、考えてみれば
 インド人が書いているから気に入ったわけじゃない。
 ただ、文章が涼しく心地よくて買ってしまった。
 掲示板の人たちも魅力的だから激論になる。
 
 あの本の内容が本当のことか、
 それとも訳者の想像か知らないけれど
 それに思いを巡らしながら読んでもとても面白い。
 本屋で見かけることがあったなら、
 一度開いてみてほしい。

 雨足が一層早くなってきた
 外をのぞくと街灯の下に
 水煙が立っている。

 これは、梅雨の日の雨じゃないね。
 夏の末の雨。
 さっき、
 ニュース速報で中越地方で震度4とテロップが流れた。
 この雨と絡んで悪いことになりませんように・・・